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「初めてのバイク選び」は、失敗したくない。
250ccバイクの購入は、決して安い買い物ではないし、特に初めてのバイクで後悔はしたくない。
バイクを買うときによく言われている「自分が好きなバイクを買えば後悔はない」なんて言葉は、ほとんど嘘だ。
どれだけ「これだ!」と思えるような250ccバイクを手に入れても、「あっちのバイクの方が良かったかな」「実際に乗ってみると思っていたのと違う」なんて、誰しも一度は悩んでしまうものだ。
たとえ自分のスタイルや趣味に合わせた最高のバイクを手に入れたとしても、カスタム性を追求しすぎた結果、長らく乗り続ける上で大切な快適性を犠牲にすることも多い。
そうなるとバイクに乗るたびに楽しさよりも疲れが勝ってしまう。
最終的には、乗ること自体が面倒になって気が付けばバイクを楽しむことなく手放してまうだろう。
今回は、なるべく後悔しない250ccバイクの選び方について触れる。特に初めてバイクを買う方にとって、参考になるはずだ。
「おすすめできない」選ばない方がよい250ccのバイク

- 「安全性能が一番」ABSがない250ccバイク
- 「壊れるリスク高い」年式が10年以上前の250ccバイク
- 「意外と盲点」メーター周りに情報が少ない250ccバイク
- 「圧倒的に面倒臭い」キャブ仕様の250ccバイク
- 「バイクの洗礼」カウルがない250ccバイク
基本的にこういったバイクは、初心者の方にとっておすすめできる250ccバイクではない。
ポイントとして「気軽に楽しめる」ことや「乗りやすさ」を考えると、初めての250ccバイクを買う前に、なるべく避けた方がよいだろう。
バイクの魅力はその「不便さ」を楽しむことにあるとすれば、「すべてが完璧なバイク」はきっと存在しないかもしれない。
250ccバイクの選び方においても、「良い部分」と「悪い部分」は表裏一体だからだ。
だからこそ、なるべく「避けておいた方が良いポイント」を知っておくことで、自分が納得して後悔しない250ccバイク選びをしよう。
「安全性能が一番」ABSがない250ccバイク

まず初心者が買って後悔する250ccバイクの特徴1つ目は、ABSが付いていないバイクだ。
ABSは、「アンチロック ブレーキ システム」の名称で、危険回避能力を確保しようとする装置のこと。
例えば、スピードに乗った状態のバイクは、不意に人や車が飛び出してきても、急に止まることはできない。
ABSのないバイクで急ブレーキをかけると、タイヤがロックしてしまい、グリップを失った車体はバランスを崩しやすく、転倒のリスクが高くなる。
「ABS」は初心者にも優しいブレーキ補助機能
ABSが付いていると強いブレーキがかかったとき、タイヤがロックしているとコンピューターが感知して、自動的にブレーキを緩める。
わずかに緩めることでタイヤをロックしている状態から、回転させてグリップ力を復活させるのだ。
転倒してしまいそうな状況で、ごくわずかな短い間にコンピューター計算してブレーキを緩くしたり強くかけたりを繰り返すことで、不用な転倒のリスクを避けることができる。
「ABS不要説?」250ccのバイクだからこそ必要な機能
ABSは、人間が持つ対応力を大きく上回り、ブレーキ時の操作を補助してくれるハイテクな装置だ。
まれに「ABSなんて要らない」と言うライダーがいるが、基本的に初心者の方には必要な制御システムだ。
長年バイクを乗りこなし、サーキットなどの極限状態でコンマ数秒の「セルフABS」が使いこなせるプロライダーのような方はまだしも、教習所を卒業したばかりで一般道ですぐに身に付くようなスキルではない。
おおよそABSは必要ないと言っている方は、自分のブレーキング技術を過信しているかABSの仕組み自体を知らない場合がほとんどなので、あまり聞く耳を持つ必要はなさそうだ。
「ABS搭載バイクは高い」それでもお金をかけた方が良い理由
初心者の方にとって心強い味方のABSは、ここ5年くらいの間に250ccバイクでも標準装備が一般的になった。
もともとは自動車のシステムで、以前はごく一部のスーパースポーツバイクのオプション程度だった。
いま販売されているバイクでは、車種が同じでもABS付きのバイクの方がおおよそ5万円ほど高くなっている。
しかしバイクを買ってすぐに転倒してばかりに、数十万円かかる高い修理費を払うリスクを減らすことができるなら、事前にABS付きのバイクを買うことは高くはないだろう。
数万円をケチってしまったばかりに、ABSがあれば避けられた事故を起こしてしまってからは遅いので、特に初めてのバイクはABSが装備されている250ccバイクを選ぼう。
「壊れるリスク高い」年式が10年以上前の250ccバイク

初心者がなるべく避けたい250ccバイクの特徴2つ目は、10年以上経ったバイクだ。
人気の衰えない旧車や絶版車をはじめ、いま販売されているバイクにはない良さがあって、好きな人にとってたまらないバイクであることに間違いはない。
しかし年式が古すぎるバイクば、初心者にとっておすすめできない。
特に古いバイクが好きなわけでもなく、安いからという理由だけで250ccバイクを選ぶことは避けたい。
年式が古いバイクはやっぱり壊れやすい
特にバイクに乗るのが初めての方におすすめできない理由は、単純に年式が古いバイクは壊れるからだ。
いくら日本製のオートバイと言えど、古いバイクはすぐに調子が悪くなったり壊れるリスクが大きい。
「バイクってこんなに手がかかるの?」と、バイクに乗って驚いたライダーも多いはずだ。
年式の古いバイクは、様々なライダーのもとを渡ってきた経緯がある。その点も考えて250ccバイクを選ぶべきだろう。
「外観が綺麗」と「中身の劣化」は別物
中古車でよくあるのは、外見だけ綺麗でエンジンなど中身の状態が良くない250ccバイクだ。
どれだけ外装が人気のカラーリングでも、オイル交換をはじめとした必要整備が定期的にされていなかったバイクは、走り始めてすぐに不調になることが多い。
壊れたバイクの修理代は安くない
当然ながら、一度壊れてしまうとお金と時間がかかってしまう。
数万円から数十万円とかかってしまうバイクの修理費用は、決して安くない。
例えばバイクを格安の20万円で購入できたとしても、故障して修理する費用が20万円かかってしまったらどうだろうか。
最初から40万円で状態の良いバイクを選んでおけば、修理に時間を取られることもないし、バイクに対してネガティブな気持ちを持たずに済んだはずだ。
「乗っている時間」よりも「整備する時間」の方が長い
壊れるが一度だけで済めば良いが、だいたいそういった類のバイクは2度3度と、故障を繰り返す場合が多い。
そうなれば、結果的に現行の新車が買えるくらいの修理費になってしまうだろう。
修理ばかりしていてずっとバイク屋さんに預かってもらっていては、必然的にバイクに乗れる時間も少なくなる。
修理代以上に避けたいのは、修理に出してバイクに乗れない時間だ。
乗っている時間よりも修理屋に預けている時間の方が長いバイクであれば、何のために買ったのかと後悔せざるを得ないだろう。
「メーター巻き戻し」250ccバイクは走行距離が怪しい車体が多い?

古い年式のバイクで一番避けたいのは、メーターを巻き戻した車体だ。
バイクを買うときも売るときも、重要なポイントである走行距離。
当然ながら、走行距離の短いバイクの方が価値は高い。
経年劣化や走行距離から、故障やトラブルが起こる可能性が低いからだ。
メーターを巻き戻したバイクが売られている中古車市場
現行のバイクはメーター表記が電子式のため、改ざんされる可能性は低い。
しかし10年以上も前のバイクだと、走行距離を示すメーター周りはアナログな作りをしているため、たとえ10万キロ走っていたとしても、メーターをいじれば簡単に5,000キロの状態が良いバイクとして販売することができてしまう。
もちろん走行距離の短いバイクとして販売されていても、メーターの数字が巻き戻っただけなので、バイクの中身は廃車寸前の10万キロのままだ。
一般の方でも買える中古車バイクのオークションなど、掘り出し物だと思って買ったらすぐにトラブルに巻き込まれるなど、とても初心者には向かないバイクの場合もある。
全国展開している大手販売店では、このようなバイクが出回るリスクは少ないが、なかには「安ければ良いだろう」「素人には分からないだろう」と悪質な販売を行っている業者がごく一部いるのも事実だ。
バイク屋さんも商売なので、目先の利益を追求するあまり詐欺まがいや手口や販売方法が未だにある。
もちろん全ての販売店やバイクがそういったわけではないが、購入するバイクの状況や古すぎる年式によっては、多かれ少なかれこういった事例があるということは、知っておいたほうが良い。
250ccバイクにメーター巻き戻し車体が多い理由
メーターの改ざんが行われているバイクは、特に年式の古い250ccクラス以下のバイクに多い。
理由は簡単で、車検が必要ない車体だからだ。
車検証に走行距離を記載する義務がないと、メーターの走行距離を変えても分からなくすることができるのは、容易に想像がつくだろう。
「意外と盲点」メーター周りに情報が少ない250ccバイク

初心者が買って後悔しやすい特徴3つ目は、メーター周りの情報量が少ない250ccバイクだ。
ライダーの視界に常にあるメーター周辺の情報は、重要だ。
街中でのライディングや長距離のツーリングなど、いつでもバイクとライダーを繋げてサポートする役目があるからだ。
走行中のデータが少ない車体とは、速度計やニュートラルランプ、ウィンカーなどの表示しかないようなバイクだ。
メーターから得られる情報が少ないと不便
カフェレーサーカスタムや、クラシックやアメリカンタイプなどは、確かにメーター周りがシンプルでスッキリとしている方がスタイルに合っている。
速度計などの必要最低限の情報だけあれば、それで十分というライダーにとっては良いかもしれないが、初心者の方にはあまりおすすめはできない。
理由は、シンプルに不便だからだ。
メーター周辺の情報量が少ないバイクだと、そのバイクに乗ってきた経験や慣れ、勘を頼りに交通の流れを進む必要がある。
幻の7速ギア?
バイクは自動車と違って、免許を取得した後はじめて行動を走ることが一般的だろう。
「いつシフトチェンジをすれば良いかしっくりきていない」「いまエンジンの回転数がいくつか分からない」なんて状況で、教習車よりもスッキリしすぎたメーター周りのバイクで一般道へ繰り出すのはあまりに不安が大きいだろう。
具体的には、「これくらいの回転数の音ならシフトを変えるのは今だな」「200キロ以上走ったからそろそろ給油しないといけない」など、こういった部分でバイクに慣れるのは時間はかかるものだ。
いまシフトギアが何速か分からなくて、6速の状態からさらにシフトアップしようとしてしまう「幻の7速」に入れようとした経験のある初心者ライダーも多いのではないだろうか。
不要な心配に気を取られると運転に集中できない
「見ればすぐに分かる」そんな情報がないばかりに、不安や心配を抱えたままバイクの操作を続けるのは危険だろう。
だからこそ、最初のうちは情報量が多いメーターが付いたバイクがおすすめだ。
「今の自分のバイクがどんな状況にあるのか」パッと見ただけでしっかり確認できる必要がある。
メーターがシンプルすぎる250ccバイクの種類
傾向として、ビンテージ系のカスタム車両やアメリカン、オフロードタイプのバイクは、ネイキッドやスポーツタイプと比較して情報量が少ないメーターデザインだ。
特に250cc以下のクラスでは、コストダウンやバイクに合わせた雰囲気などの理由がある。
しかし初めてのバイクを選ぶ際は、やはりメーター周りが充実している方が良いだろう。
「あると嬉しい」メーター周りの便利な機能

では、具体的にどうような機能があれば良いのだろうか。
燃料計メーター
まず燃料計は必須だろう。
燃料計の有無は、利便性に大きく関わる。不意に起こるガス欠や手間を省くことができるからだ。
基本的に燃料計が付いていないバイクの場合、ガス欠気味になってきてたら、手動でリザーブに切り替える。
リザーブとは、予備のタンクに切り替えるみようなイメージだ。
この時点でガソリンスタンドに給油しに行った方が良いのだが、あと何キロ走れるか分からない状況で不安なまま走行を続けるのは初心者の方にとってかなりストレスだろう。
普段自動車に乗っている方からすれば、「燃料計がないなんてあり得ない」と思うかもしれないが、年式が少し前のバイクやサーキット仕様に近いバイクでは、燃料計が付いていない車体はよくある。
利便性よりも、とことん軽量化やコストカットをした結果かもしれないが、やはり街乗りや普段の使い勝手を考えると、不便だ。
ギアポジションメーター
そのほかに必要な機能としては、ギアポジションメーター。
いま何速のギアで走っているかが分かるメーターだ。
これを目安に体感的にシフトチェンジができるようになれば、いずれはシフトが何速か見なくても適切なギアで走ることができるだろう。
また最近のバイクでは、キーをオンにするとメーター周りにアニメーションのように演出がされている車体などもあるため、走る前にテンションが上がるかもしれない。
気になるバイクがあれば、メーターの雰囲気も事前に把握しておきたい。
「圧倒的に面倒臭い」キャブ仕様の250ccバイク

初めてのバイクにおすすめできない特徴4つ目は、キャブ車のバイクだ。
年式が古いバイクはキャブ車が多い
「キャブ車(キャブシャ)」とは、キャブレターと呼ばれる燃料噴射システムを搭載しているバイクのこと。
キャブレター式の燃料噴射装置は、一昔前のバイクに使われていた仕組みで、現在ではFI車(フューエル インジェクション)というコンピューター制御が一般的だ。
FI(フューエル インジェクション)車を選ぶのがおすすめ
FI(フューエル インジェクション)車は、コンピューター制御のもと計算と調整がされて、常に最適な燃料噴射が行われる。
ライダーにとってキャブ車で起こりやすかったトラブルが、FI車だと起こりにくい点でメリットがある。
燃費や排ガス規制の観点から見ても、FI(フューエル インジェクション)車を選んだ方が良いだろう。
やっぱり手間がかかるキャブ車
キャブ車ではバイクを走らせる前に、ライダーがその日の気候やバイクの調子に合わせて、ガソリン噴射量を手動で調整する必要があった。
キャブ車は、発進する前に手間がかかる上に、標高の高い山道や天気の気圧などの影響を受けやすい。
そのためキャブ車では、さっきまで調子が良かったバイクなのに、そうした影響を受けてエンジンがかかりにくくなるなど、とにかく手間がかかるのだ。
一方で、コンピューター制御のFI車であれば、エンジンはセルスイッチを押すだけの一発始動。
季節問わず一年中、コンピューターが最適な方法でスムーズにエンジンに火を入れてくれる。
キャブ車のように、気候に影響されて出発まで時間がかかるなんてこともない。
「バイクの洗礼」カウルがない250ccバイク

バイクに慣れていないうちは避けておきたい特徴5つ目は、カウルのないバイクだ。
バイクに乗れば分かるが、ライダーは思っている以上に風の影響を受け続けている。
特にカウルがなくて困ることはないが、ハーフカウルがあることで運転中の疲れやすさが軽減される。
ハーフカウルが付いているバイクは疲れにくい

カウルがない一般的なネイキッドバイクのHonda CB400SF(スーパー フォア、画像の右側)。
ハーフカウルが特徴的なHonda CB400SB(スーパー ボルドール、画像の左側)。
この2台の大きな違いは、ハンドルやメーター周りを中心に囲むような大きなカウルの有無。
「疲れにくさ」という点だけで考えれば、やはりハーフカウルは重宝されるパーツだ。
バイクは速度に比例して、強力な走行風に上半身が押さえつけられる。
それに伴って、必死にハンドルにしがみつくが、長時間の走行が続くと、だんだんと疲労が蓄積されていく。
しかしハーフカウルがあることで、走行風を受け流してくれるため、長距離を走るライダーにとって身体的な負担が少なくて済む。
長距離ツーリングをするならカウル付きがおすすめ
ハーフカウルについては、デザイン以上に変わるのが航続距離だ。
この航続距離は、ガソリン満タンからどれくらい走れるかではなく、自分の体力的に何キロ走れるかだ。
ハーフカウルの恩恵で走行風が和らぐだけで、バイクの快適性は大幅に良くなる。
特に冷たい風が直撃する冬場は、ハーフカウルなしで走るのはかなり厳しいだろうう。
バイクの乗り始めは、つい走行距離が伸びてしまうもの
バイクに乗り始めて最初は、嬉しくてつい走行距離が伸びてしまうもの。
その中で意外と体は疲労ダメージを受けているわけだ。
消耗してしまうはずだった体力を温存できていれば、簡単に自分の航続距離を伸ばすことだって可能だ。
もちろん、カウルのないネイキッドバイクでも走ることはできるが、長距離を走る場合どこかで我慢をしなければならなくなってしまう。
おすすめできない特徴を知ったうえで、自分に合った250ccバイクを選ぼう
以上、初心者が買ったら後悔する可能性のあるバイクをまとめた。
- 「安全性能が一番」ABSがない250ccバイク
- 「壊れるリスク高い」年式が10年以上前の250ccバイク
- 「意外と盲点」メーター周りに情報が少ない250ccバイク
- 「圧倒的に面倒臭い」キャブ仕様の250ccバイク
- 「バイクの洗礼」カウルがない250ccバイク
これらの条件は、必ずしも当てはまるものではない。
好き嫌いで別れる部分もあれば、キャブ車のように、手がかかるからこそ楽しいという方も多いはずだ。
なかでも年式が古すぎるバイクに関しては、よほど強い思い入れがあって、修理費がかかることを覚悟の上で乗る分には、全く問題はない。
初めてのバイクで250ccを選ぶことは楽しい反面、結局どれを選べばよいか迷うものだ。
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最新の250ccバイクを中心に、マシンスペックや比較を知るにはバイク雑誌の情報も頭に入れておけば、よりバイク選びで失敗する確率は下げられるはずだ。
これらを参考に、後悔のないバイク選びに役立ててみよう。