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「フルフェイスのヘルメットって、なにを選べば良いんだろう?」
ヘルメットは、しょっちゅう買い換えるものでもない。
いろいろな種類のヘルメットがあるなか、フルフェイスのタイプに決めたのはいいけれど、どうやって選んだら良いのかわからない。しかも初めてなら、なおさらだ。
今回は「フルフェイス」のヘルメットを中心に「買う前に知っておきたい規格」、「買った後に後悔しない機能や装備」についてご紹介。
フルフェイスを買う前に決めておきたい3つのポイント
- 安全性を重視したい
- 快適性を重視したい
- システムヘルメットも気になる
それぞれライダーの好みや考え方によって、ヘルメットに求めるものは違ってくる。
もちろん「安全性」が高いヘルメットであることに越したことはない。
しかし安全だけでなく、お気に入りのデザイン、快適性の高いフルフェイス、価格の面でもコスパの良い商品など、チェックしておきたい部分を先に確認しておこう。
知っておきたい「安全規格」ヘルメット選びに必要な知識
- 数多く存在する安全性の規格
- メーカーによって重視している規格は違う
それぞれの「安全性」に対して異なる考え方を知っておこう。
それを分かりやすく表しているものが、規格だ。
「Arai」や「SHOEI」など、フルフェイスヘルメットの代表的なメーカーが、どういった部分を重視しているのか把握しておこう。
さらに言えば、有名なブランドであっても、メーカーの製品ごとに特徴が大きく異なる点だ。
各メーカーが謳う「安全性」を比較することは、ヘルメットを選ぶ上で最も大切なポイントだ。
SNELL規格
- 世界で最も厳格な規格
- 落下試験
- 貫通試験
世界で最も厳しいと言われている規格の一つは、スネル規格。
主に帽体(シェル)の強度に関する規格で、5年ごとに内容が見直しがされ、年々と厳しくなっている。
転倒時に大きな衝撃が加わるであろうサーキットなどを走る際には、SNELL規格(またはそれに準ずる規格)のヘルメットが必須になっている。
ただこのスネル規格は、「衝撃」や「貫通」に対する強さを示すもので、ヘルメット自体の強度に関する規格だ。
ヘルメットをより強固なものにしようとシェルの強度を上げると、当然ヘルメットそのものが重くなる。
実際にフルフェイスなど、ヘルメットの重さは事故が起きたシチュエーションを考えると、頭だけでなく首などへの衝撃が、結果的に大きくなってしまうというデメリットもある。
ECE規格
- ヨーロッパを中心に使用されている規格
- ヘルメットが壊れてもどれくらい頭部の保護をできるか
- 頭部への衝撃を想定した規格
SNELL規格の部分でも述べたように、保護するべきはヘルメットそのものではなく、ヘルメットを装着した人間の頭部や首が大切だ。
その頭部を保護するという考え方の基準とされているのが、ECEという規格だ。
ヘルメットとしての強度を重視する「SNELL規格」に対して、ヘルメットの中の頭部の保護を重視しているのが「ECE規格」というイメージ。
もちろん、強度も保護もどちらも大事だ。
結局、どちらが優れた規格であるか、どちらがより安全性が優れているかということは断言できない。
しかし、これらの規格をクリアした製品は、安全性が極めて高いヘルメットであるということは間違いない。
メーカーごとの重視している規格
世界中で多くの支持を集め、日本を代表するメルメットメーカーの「Arai」と「SHOEI」、そして「OGK」を例に、各メーカーが重視しているポイントをチェックしていこう。
Arai
- 耐衝撃性・安全性能を重視
- 製品の多くがSNELL規格に適合している
- Arai独自の規格もある
SHOEI
- ハイエンドモデルを中心にSNELL規格をクリア
- 快適性を重視した商品が多い
OGK
- ECE規格とJIS規格を重視
- 軽量モデルが多く疲労軽減や快適性を重視した製品が多い
- 他社メーカーに比べてお手頃な価格帯
Araiは、高い強度を示すSNELL規格を重視したフルフェイスが多い。
ECE規格やJIS規格を重視した製品が多いのが、SHOEIやOGKといった印象だ。
また近年では、多くのMotoGPライダーが装着しているHJCなど、アジア発のフルフェイスで高い安全性能を発揮する製品をも増えてきた。
HJCの詳細は、こちらの記事【マジで全部集めたい】HJCの人気ヘルメット「おすすめのグラフィック」からどうぞ。
価格が安すぎる?フルフェイスヘルメットの特徴
- 安全性が十分ではない製品
規格のチェック - 日本人の頭の形に合っていない製品
長時間の装着で不快感や痛みが起こる - ヘルメットが重たい製品
疲れやすく首や肩への負担が大きい
低価格を売りにしている一部メーカーのヘルメットは、ヘルメット自体が大きく重かったり、欧米人向けの設計をしていることも多い。
そのため日本人の頭の形が合わず、長時間装着していると頭痛や肩こりなど、正直使いにくいというモデルもある。
海外メーカーの場合「アジアンフィット」など、日本人の頭の形にも配慮して設計されたモデルを選ぼう。
なかでも、イタリアのヘルメットメーカー「AGV」は、多くのアジアンフィット設計をしているフルフェイスがある。
詳細はこちらの記事【やっぱりK1?】AGVおすすめフルフェイス【ヘルメットが主役になる】からチェックしておこう。
おすすめフルフェイスヘルメット
- Arai「VECTOR-X(ベクター X)」
- Arai「RX-7X」
- OGK「AEROBLADE-5(エアロブレード5)」
Arai「VECTOR-X(ベクター X)」
まずおすすめしたいフルフェイスは、VECTOR-X(ベクター X)。
Araiのフルフェイスモデルとしては、低価格でありながらSNELL規格に適合した製品だ。
発売年は2017年で、決して最新モデルではないが、コスパの面で考えると安全性と価格のバランスに優れたヘルメット。
一昔前までの低価格帯のモデルは、どうしてもベンチレーション機能(外気を取り込んで中の空調をリフレッシュする効果)が低く、特に暑い夏の時期は不快感を感じるのが当たり前だった。
しかしVECTOR-X(ベクター X)は、デュアルフローシステム、インナーサイドダクトなどによって夏場の蒸れたヘルメット内の不快感も解消している。
Araiのフルフェイスでは、エントリーモデルとして優れた性能を発揮するVECTOR-X(ベクター X)に対して、SHOEIではエントリーモデルに位置づけされる「Z-8」という製品が新しく発表された。
SHOEIの「Zシリーズ」は、フルフェイスの中でも軽量でコンパクトな帽体が特徴的だが、安全規格ではJIS規格のみ。安全性や価格帯を考慮すると、VECTOR-X(ベクター X)の方が良いはずだ。
Arai「VECTOR-X(ベクター X)」おすすめポイント・特徴
- SNELL規格をパスした最高水準の安全性
- ヘルメット内部が蒸れるストレスが少ない
- Arai製品の中では低価格でコスパに優れている
【販売・オンラインショップ情報】Arai「VECTOR-X(ベクター X)」
Arai「RX-7X」
価格帯は少し上がるものの、安全性を重視したフルフェイスでは、RX-7Xも検討しておきたい。
先ほどのVECTOR-X(ベクター X)同様に、SNELL規格をクリアした製品だ。
高品質なArai製のヘルメットの中でも、ハイグレードのラインナップ。
デザインから分かる通り、通気性の高いダクトが取り付けられ、さらに静粛性にも優れたヘルメットだ。
数あるフルフェイスのヘルメットの中でも、最高クラスに位置付けられるモデル。
価格だけを見れば、ヨーロッパなどのメーカーでは10万円を超えるようなモデルも多くあるが、RX-7Xは性能と価格を考えるとこちらもコストパフォーマンスは抜群に良い。
Arai「RX-7X」おすすめポイント・特徴
- SNELL規格をパスした最高水準の安全性
- ベンチレーション機能の充実
- 繊維密度の高いスーパーファイバーを使用
【販売・オンラインショップ情報】Arai「RX-7X」
OGK「AEROBLADE-5(エアロブレード5)」
快適性を重視するならOGK Kabutoから販売されているAEROBLADE-5(エアロブレード5)がおすすめだ。
OGKの製品は、高品質でありながら手の届きやすい価格設定が嬉しい。
注目すべきは、フルフェイスでありながらわずか1,400gほどの軽さを誇る点だ。
やはり重たいものを頭部で支えるのは強くストレスがかかるが、軽量化により長時間つけていても疲れにくく、快適な時間を過ごすことができる。
安全規格はJIS規格をクリアし、SNELLやECEなどはパスしていない。
しかし、衝撃吸収性や耐貫通性だけで安全性を判断するのはまだ早いのではないだろうか。
実際にヘルメットは軽い方が、疲労が溜まりにくく、事故そのものを事前に防ぐ意味で期待できる。
そのほかのメーカーとは違う考え方ではあるが、快適性を重視した中で耐衝撃性能も確保することも、安全対策に一役買っているのではないだろうか。
OGK「AEROBLADE-5(エアロブレード5)」おすすめポイント・特徴
- SNELL規格をパスした最高水準の安全性
- ベンチレーション機能の充実
- 繊維密度の高いスーパーファイバーを使用
【販売・オンラインショップ情報】OGK「AEROBLADE-5(エアロブレード5)」
実はフルフェイスよりも快適?みんな知らないシステムヘルメットの快適性
フルフェイスを購入するときは、システムヘルメットの検討もしておこう。
システムヘルメットを初めて試すなら、OGKの「RYUKI」モデルがおすすめ。
フルフェイスと同様に、システムヘルメットも検討している方はこちらの記事【システムの正解】ヘルメットのおすすめ機能と選び方【OGKからAGVまで】もあわせてチェックしよう。
OGK「RYUKI」
このカテゴリーで強くおすすめしたいのは、OGKから発売されている「RYUKI」。
コスパ、価格、性能のバランスがとても良く、一度システムヘルメットに慣れると、ほかのタイプのヘルメットに戻れなくなるほどの快適さが魅力だ。
帝人株式会社のUV&IRカットシールドを採用し、太陽光の影響で発生するヘルメット内部の熱を遮断する効果がある。特に夏場には重宝する機能だ。
さらにはインナーサングラスが装備され、日焼けや夕方の日差しからも視界を保護してくれる。
OGK「RYUKI」おすすめポイント・特徴
- フルフェイスと変わらないデザイン性
- チンガード(アゴを保護する部分)の開閉が可能
- フルフェイスよりは少し重たい傾向
- 総合的な強度はフルフェイスにやや劣る